遺書

このブログは私の遺書だ。みんな……遺書を残すものなんだろう?

この日記は実在する個人には関係ありません。

西日本にヤンキーのフォロワーがいる。あだ名は「組長」。その由来は、某指定暴力団と名字が同じだから、らしい。

彼と知り合ったのはTwitterで、オンラインゲームを一緒にやる仲間を募集していたらたまたま彼が話しかけて来てくれた。アニメアイコンで美少女と少年漫画を愛するコミュ力の高い明るいオタク、というのが彼の当初の印象だった。以来、何度かパーティーを組む様になり、オフ会をやることに。当時、遊園地などで学校の制服を着てオフ会をすることが流行っていて、私たちも制服を着て会おう!となった。

フォロワーとオフで会ったことは何度かあったが、オフ会は初めてだった。待ち合わせた喫茶店で、どんな人が来るか、と緊張と期待に震えていると、店にひとりの男の子がやってきた。黒い短ランに身を包み、チンピラよろしく足を引きずる様にして歩いてくる。

まさか、と思った時にはもう遅かった。オフ会に来たことを本気で後悔した。

「サラさん?」

いわゆるヤンキーと呼ばれそうな少年が、私のハンドルネームを呼んだ。

それが組長との出会いだった。

 

最初の印象こそ最悪であったが、組長はTwitterでの印象通りの気さくな男の子だった。いつも冗談を言って周囲を笑わせるひょうきんもの。そのうち何度か会う様になり、今では下世話な話も平気でできるほど打ち解けた仲となった。

が、一応ヤンキーらしいエピソードもある。そのうちのひとつを紹介する。

 

組長の家の近くには親戚が住んでいて、そこのいとこもヤンチャな男の子だった。

ある日、組長は夜にその家に忍び込んで、寝ているいとこにイタズラをしようと思い立つ。

組長は、バールの様なものと手袋を用意して夜な夜なこっそりいとこの家に行った。当然ながら、玄関も窓も施錠されている。

そこで組長は、窓枠や配管をつたって二階にあるいとこの部屋へよじ登ると、用意していた手袋をはめ、かかっていた鍵をこっそりとぶちこわした。プロ並みの手腕である。

そして、寝ていたいとこだけを起こしてびっくりさせた後、一緒にスマブラを遊んで普通に帰った。

が、翌朝になって、部屋の鍵が壊されているのをいとこの家人が発見した。組長は手袋をはめてから鍵をぶちこわしていたため、家人が警察に届けても指紋が出なかった。このまま完全犯罪になるかと思いきや、最後の最後でいとこがゲロってしまい、組長はこっぴどく叱られたそうな。

 

窓枠や配管をつたって建物の二階までよじ登ったり、悪事に関しては妙に用意周到だったり。事実は小説より奇なり、を地で行く愉快な友人である。しばらく会えていないが、今度会えたらまた一緒にご飯でも食べながら先日話していた略奪愛の結末について教えてください。